
相続した不動産を売却した場合の所有期間の計算について、Q&A形式でお伝えします。
不動産を売却した場合、所有期間によって売却した際の所得税・住民税の税率が変わると聞きました。不動産を相続した場合は所有者が変わりますが、所有期間はどのように計算するのでしょうか。
不動産を売却し譲渡所得があった場合、その所得に対して所得税・住民税が課税されます。また、所有期間によって長期譲渡所得と短期譲渡所得に区分され、税率も変わります。
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所有期間 |
所得税 |
住民税 |
長期譲渡所得 |
5年を超えるもの |
15% |
5% |
短期譲渡所得 |
5年以下のもの |
30% |
9% |
この場合の所有期間は、譲渡した年の1月1日時点での期間で判定されます。なお、相続した不動産の場合における所有期間は、前所有者の取得時期が引き継がれます。
また、平成25年(2013年)1月1日から令和19年(2037年)12月31日までは、復興特別所得税として所得税額に対して2.1%が課税されます。したがって、
- 長期譲渡所得の場合
所得税 15.315% + 住民税 5% = 20.315% - 短期譲渡所得の場合
所得税 30.63% + 住民税 9% = 39.63%
下記の事例で所有期間の判定方法を確認してみましょう。
- 平成12年(2000年)3月31日に父が購入した不動産を平成22年(2010年)4月30日に相続し、令和2年(2020年)6月30日に売却した場合。所有開始は前所有者の取得時期を引き継ぎ、平成12年(2000年)3月31日となります。
所有期間の判定は、譲渡した年の1月1日時点であるため、この場合には令和2年(2020年)1月1日時点となり、所有期間は平成12年(2000年)3月31日から令和2年(2020年)1月1日の19年9ヶ月となります。所有期間が5年を超えているので、長期譲渡所得の税率が適用されます。 - 平成27年(2015年)1月31日に母が購入した不動産を令和2年(2020年)3月30日に相続し、令和2年(2020年)6月30日に売却した場合。上記1. と同様に考え、所有開始時期は平成27年(2015年)1月31日となります。
所有期間は、平成27年(2015年)1月31日から令和2年(2020年)1月1日となりますので、4年11ヶ月となります。所有期間が5年以下なので、短期譲渡所得の税率が適用されます。
所有期間が5年を超えると税率が下がるため、相続した不動産を売却される場合、前所有者(被相続人)の所有開始時期を確認する必要があります。税率を確認し、それを考慮した上で不動産の売却をご検討されることをお勧めいたします。
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